ブラジル人の音楽事情。ストリーミング利用率は世界トップ3?

ブラジル人の音楽事情。ストリーミング利用率は世界トップ3?

英ロンドンに本部を置く音楽業界団体、IFPI(国際レコード・ビデオ製作者連盟)が10月9日に発表した、世界の音楽消費者動向をまとめた報告書「Music Consumer Insight Report」から、ブラジル人の音楽視聴事情について面白いことが判明しました。

ちなみにこの報告書「Music Consumer Insight Report」は、IFPIが2018年4月〜5月にかけて情報を収集。

アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、ポーランド、ロシア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、英国、米国、インド、中国の20カ国で、対象年齢は16歳から64歳、合計1000〜2000人(各国の人口による)にアンケートをとりました。

(インドと中国は別枠で紹介しているので、ここでいう“世界で”は印・中を除いた18カ国になります)

ちなみにこの20カ国が、世界の音楽市場における売上の91.3%(2017年)を占めているとのことです。

ブラジルではスマホで音楽を聴く人は92%

まず報告書で注目したいのがストリーミングなどの音楽の聴き方事情。

国別ランキングで見てみると、ブラジルはスマホで音楽を聴く人の割合が世界で2番目に多いとのこと(92%)。

1位はメキシコ(93%)、3位はアルゼンチン(89%)で、南米がトップ3を占めました。

その中でも、ストリーミング音楽配信サービスを利用している人の割合ではブラジルが3位(77%)
1位はロシア(87%)、2位はメキシコ(81%)。

世界全体でみるとストリーミング利用者は61%ですから、上位3カ国は比較的高い割合であることがうかがえます。

(ちなみに日本は23%!対象18カ国中、圧倒的最下位です!)

興味深いのは、ブラジルはストリーミング大国でありながらも、ラジオで音楽を聴く人も89%と、大変高い割合であることです。

(日本は50%で、こちらも最下位でした)

ブラジルでは寝る前に音楽を聴く人も多い

寝る前に音楽を聴く習慣がある」という質問に対して、ブラジルは33%で1位

2位はポーランド29%、3位は南アフリカ25%と続きます。

ブラジルや南米はローカル音楽を好む傾向

世界でみると、「好きな音楽のジャンル」ポップ、ロック、ダンス/エレクトロ/ハウスがトップ3を占めています。

一方、ブラジルやメキシコ、アルゼンチンは、ローカルな音楽を好む傾向にあります。
メキシコではメキシコの地域音楽、アルゼンチンはレゲトンがランクインしています。

ブラジルは以下のような結果がでました。
1位:MPB(55%)
2位:セルタネージョ(39%)
3位:サンバ/パゴーヂ(34%)

2017年ストリーミング視聴ランキングの8割がブラジル

上の結果を裏付ける他のデータのひとつとして、スペインの音楽系企業BMATのレポートも参考になります。

2017年ブラジルでストリーミングによって最も聴かれた曲トップ50のうち、43曲がブラジル音楽だったそうです。

(対象ストリーミング配信サービス= Deezer, Spotify, Apple Music, Google Play, Napster)

全50曲のうち20曲がセルタネージョ系、10曲がファンキでした。

参考:Artistas nacionais lideram lista das músicas mais ouvidas em plataformas de streaming no Brasil

南米はSNSと音楽の親和性が高い

ブラジル好きなら実感している人も多いと思いますが、ブラジル人はとにかくSNS大好き!

YouTubeやWhatsAppなどのSNSから人気が出たミュージシャンの話もよく耳にしますね。

この報告書によれば、ラテンアメリカのユーザー75%が、SNSに投稿されている音楽を聴く習慣があると答えているそうです。

ブラジル人の約半数がネットで音楽やビデオを視聴する

別の調査報告になりますが、「ブラジルではどのくらいの人がインターネット経由で音楽や映画を視聴するかどうか」についても面白い結果が出ています。

2018年11月5日、CGI(ブラジルインターネット管理委員会)がブラジル国内のイベントで発表したばかりのデータを紹介!

・ブラジル人の約半数がネットを使って音楽や動画(映画やドラマも含む)を視聴

・29% =音楽をダウンロードして聴く
・26% =自作の文章や写真・動画を投稿する
・16% =映画をダウンロードする
・10% =ドラマなどのシリーズ物をダウンロードする

・2014年から2017年にかけて、ストリーミング音楽/動画サービスを利用する人の割合は58%から71%に増加
・音楽をダウンロードする人は51%から42%に減少
・映画をダウンロードする人は29%から23%に減少

・ブロードバンド固定回線を利用して音楽を聴く人は70%
・3Gや4Gなどの携帯電話回線で聴く人は59%に減少
・動画を観る人は、固定回線72%、携帯回線57%

・所得との関連性/中間層以上の人々は、モバイル回線も自宅の固定回線も利用できるが、低所得者層は比較的携帯端末に頼る傾向にある
・音楽や動画などのコンテンツ消費にも関係。家に固定回線がある人は、、携帯電話しか持っていない人よりもストリーミング配信サービスを使う傾向にある

・ストリーミング音楽/29%が毎日聴く、16%が最低でも週1、3%が最低月1回(残りは未回答
・ストリーミング映画/12%が毎日視聴、15%が最低でも週1、5%が最低月1回(残りは未回答

・有料サービスに関しては、ブラジルはまだそこまで利用者は多くない
・有料動画サービス登録者は10%、音楽サービスは5%、映画を購入するのは3%

・48%がブラジル音楽、28%が外国の音楽をより多く聴く
・映画は26%がブラジル、24%が海外映画
・ドラマなどシリーズ物は、21%が海外、13%がブラジル産

参考:Metade do Brasil consome música e vídeo pela internet, diz pesquisa

ブラジルの音楽産業の現状

これだけブラジルでストリーミングが流行っているというデータを見ると、やっぱりCDは売れてない!?ブラジル音楽産業はどうなってるの!?と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

本やCDを取り扱う大型店舗Saraivaは、業績悪化から国内20店舗の閉鎖を決定

これはCDの売上だけの問題ではありませんが・・・他にもブラジルを訪れた日本人からも「あのCD屋さんが潰れてしまった」などの声はよく聞きます。

しかし、実際のところブラジル音楽産業は結構調子がいいのです。

同じくIFPIのデータ(他の調査)を元にしたO Globo紙の記事によれば、
ブラジルの音楽業界は、2017年に前年比17.9%の成長率を記録。ここ十数年で最高の伸び率だったそうです。

ブラジル国内での音楽を売上別に見ると以下の割合になります。

全体収益: 2億9580万USドル

デジタルサービス =60.4%(1億7860万ドル)
ライブなどの興行収入 =34%(1億60万ドル)
CDなどアナログ製品 =5.3%(1580万ドル)
オーディオビジュアル製品等へのライセンス収入 =0.3%(70万ドル)

参考:O Globo

まとめ・参考リンク集

数ある調査結果のほんの一部ではありますが、少しでもブラジル人の音楽の聞き方事情を知るきっかけになれば幸いです。

以前ほどCDの売れない時代ではありますが、ブラジル音楽業界全体でみれば成長しているとのこと。
デジタル配信しかしないアーティストも増えていたりします。

この記事は消費者側からの目線で書きましたが、今度はアーティスト・製作者側からの記事も書けたらいいなと思っています。

今回参考にしたIFPIの報告書は、以下のリンクから見れます!
IFPI「Music Consumer Insight Report」(英語)

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