【W.W.のAgora Mesmo第2回】サンパウロでブラジル音楽の講演会に出演!

【W.W.のAgora Mesmo第2回】サンパウロでブラジル音楽の講演会に出演!

ライタープロフィール

Willie Whopper:Jornal Cordel初代編集長、現・顧問。ブラジル音楽愛好家。2006年東京・西荻窪にブラジル情報発信スペース「Aparecida」開店。2011年9月、第1回ブラジリアン・プレス・アワード音楽部門受賞。2011,13,14,17年に駐日ブラジル大使館で、18年にはブラジル・サンパウロでもブラジル音楽についての講演を行う。これまでブラジル音楽に関する著書を6冊出版。
サイト:Barzinho Aparecida

去る6月19日、ブラジル・サンパウロの「Sesc Centro de Pesquisa e Formação」という施設に招かれ講演会を開催してきました。

História da Música Brasileira no Japão, de 1938 a 2018」という演目で、日本におけるブラジル音楽の歴史を紹介しました。

今回のコラムでは、その時の内容の一部を特別にご紹介します!

何故1938年かというと、この年に日本で初めてブラジル音楽のレコードが発売されたからです。カルメン・ミランダの「アロー・アロー」というマルシャで、なんと2万5千枚もセールスしたといいます。1938年というと昭和13年、日中戦争が開戦した翌年です。当時は78回転のSP盤の時代、レコードプレーヤーの普及率を考えると大ヒットですね。

(ちなみに81年にはLP盤で復刻されています。こちらがその時のジャケットです。)

第2次世界大戦を挟んで再度ブラジル音楽が注目されるのは昭和20年代後半に入ってから。1952(昭和27)年には宝塚出身の歌手、生田恵子がブラジルを訪問、あのLuiz Gonzaga(ルイス・ゴンザーガ)の指導の元、日本語でフォホーを録音しています。

1960年代に入ると米国のジャズ界経由でボサノヴァが日本にも上陸、渡辺貞夫をはじめ多くのジャズマンがボサノヴァの作品をリリースしました。

1974年には四谷に日本初の本格的ブラジル音楽ライブ・レストラン、サッシペレレがオープン、ワルテル・ワンデルレイやバーデン・パウエル、アイルト・モレイラ&フローラ・プリムといった一流のアーティストの演奏を身近に聴けるようになりました。

サッシペレレ外観
foto: Saci Pererê HP

ボサノヴァに続いてサンバにも注目が集まると、日本各地にサンバ・サークルが誕生、長谷川きよしのような歌謡曲界にもサンバを取り入れて歌う歌手が出てきました。神戸や浅草で始まったサンバ・カーニヴァルは今では数十万人を集客するビッグ・イベントとなっています。

1980年代に入るとフュージョン系グループにブラジル音楽のエッセンスを取り入れたグループが活躍、高中正義や松岡直也といったアーティストが試行錯誤しながらブラジル音楽を自己の音楽に取り入れてきました。またブラジル音楽を主体とするカリオカやスピック&スパンなども登場しました。美人ジャズシンガーの阿川泰子真梨邑ケイがブラジル音楽に特化したアルバムを出したのもこの頃です。

真梨邑ケイ「La Califusa」

阿川泰子の「レディー・セプテンバー」

日本におけるブラジル音楽の歴史においてエポック・メイキングな出来事と言えばなんといっても小野リサのデビューでしょう。現地トップミュージシャンと録音されたデビュー作『カトピリ』は全編ポルトガル語で歌ったことにも関わらずオリコン上位にランクインしました。

1990年代から2000年代に入ると日本のブラジル音楽はますます多様化、渋谷系やクラブ・ミュージック・ブーム、そしてカフェ・ブーム等を通過して新たなファン、そして演奏者を獲得していきました。

渋谷系の例として、TOWA TEI with Bebel Gilberto 「Technova」の動画をシェアします。

近年ではタレントの遊助(上地雄輔)がセルタネージョ界のトップ・スター、Michel Teló(ミシェル・テロー)のカヴァーを発表しています。

元ネタ Michel Teló 「Ai Se Eu Te Pego!」

インディーズアーティストも個性的な自主制作作品を発表するようになります。
北東部音楽に特化したQ-tchanはブラジル人にも大ウケでした!

こちらはOkawa & The Rulers 「お城の中で」。ピンドゥッカのカバーです。

会場にはミュージシャンやレコード・レーベル・オーナーといった業界系の人たちから、レコード・コレクターや日本好きな人達まで80人以上が集まり、2時間超の長丁場イベントとなりましたが、皆さん熱心にメモを取りながら最後まで聞いてくれました。

Renato Braz

最後の質疑応答には「なんで日本人がブラジル音楽好きなのか?」とか「ジョアン・ジルベルトの認知度はどのくらい?」、「ボサノヴァやサンバが日本で人気あるとは聞いたことあったけど、フォホーやカリンボー演奏する日本人がいたとはビックリ!」など、興味深い質問や感想が続き、残念ながら最後は時間切れ。

こんな動員したトークイベントは前例がない、またやりましょう!」とSesc担当者が言ってくれたのがありがたかったです。

という訳で、80年にも渡る日本におけるブラジル音楽の歴史、ブラジル人にとっても大変興味深かったようです。有り難いことにまた声を掛けてもらえそうなので今回紹介出来なかった分も含めて伝えてきたいと思っています!!

左から:Lula Barbosa、Kumi(Forró Legal)、Willie、Socorro Lyra、Cristina Saraiva、Renato Braz

文責・Willie Whopper/編集・noriji

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